INDEX
1|久留米絣とは?
1-1:久留米絣の基本的な定義
久留米絣(くるめがすり)は、福岡県久留米市を中心に作られている綿織物で、絣(かすり)という技法を用いた伝統工芸品の一つです。絣とは、あらかじめ模様を想定して糸を染め、それを織ることで独特のにじみ模様を作り出す技法のこと。久留米絣はその中でも特に、繊細な模様表現と柔らかい風合いで知られています。使用されるのは綿100%の糸で、吸湿性や通気性に優れているため、日常の衣服としてもとても快適です。現在では、着物だけでなく、洋服や小物、インテリア雑貨などにも広く使われるようになり、昔ながらの美しさと現代の暮らしを結びつける織物として注目されています。

1-2:他の絣との違いは?
日本三大絣と呼ばれる久留米絣、伊予絣(愛媛県)、備後絣(広島県)は、それぞれに特色があります。久留米絣は、手織りや手括りによって細かく緻密な模様が作れる点が特徴です。模様も幾何学的なものから草花、風景など多彩で、独創性があります。藍色を基調としつつも、現代ではピンクや黄色などのカラフルな染色も取り入れられ、ファッション性の高いアイテムが多数登場。また、久留米絣は着心地の良さにも定評があり、洗うたびに柔らかく肌になじむようになるため、長年愛用する人も多いです。他の絣と比べて、生地が比較的しっかりしていて実用的である点も支持されています。
2|久留米絣の歴史
2-1:江戸時代からの始まり
久留米絣の歴史は、今から約200年前の江戸時代末期にまでさかのぼります。その始まりは、久留米の12歳の少女・井上伝(いのうえ でん)が、古着を繕っている時に偶然できた模様からヒントを得たとされる逸話が残っています。彼女の観察眼と探究心から生まれた技法は、やがて地域に広まり、職人たちの手によって発展していきました。農家の副業としても浸透し、庶民の衣類として親しまれるようになりました。その後、明治以降には全国に知られるようになり、「絣の本場」として確固たる地位を築いていきます。今でも久留米では、井上伝を讃える記念碑や資料館があり、彼女の偉業を後世に伝えています。
↓こちらは久留米市五穀神社境内にある、井上伝さんの像です。

2-2:戦後から現在までの進化
第二次世界大戦後の復興期、久留米絣は一時的に衰退の危機を迎えますが、手仕事の価値が見直される中で再び注目を集めるようになりました。特に1970年代以降は、若手作家やデザイナーの参入によってデザイン性が進化し、従来の和装だけでなく、洋装やインテリア、アクセサリーなど新たなジャンルに広がっていきました。また、近年ではSDGsやサステナブルなライフスタイルの観点から、天然素材・手仕事への注目が高まり、久留米絣も再評価されています。伝統を守りながらも、時代のニーズに合わせて変化を取り入れる柔軟性が、久留米絣の長い歴史を支えてきたのです。
3|久留米絣の魅力
3-1:やさしい風合いと肌ざわり
久留米絣の最大の魅力のひとつは、その風合いと肌ざわりの良さです。綿素材を丁寧に織り上げているため、最初は少し張りのある生地でも、使い込むほどにふわっとやわらかくなり、肌になじんでいきます。吸湿性と通気性にも優れており、蒸れにくく、夏でも快適。まさに日本の気候にぴったりの素材です。また、自然素材ならではのぬくもりがあり、着る人・使う人にやさしい織物として長年愛されています。その優しい手ざわりは、赤ちゃん用のアイテムや、敏感肌の方にも安心して使える素材としても注目されています。
3-2:色の奥深さと美しさ
久留米絣といえば、やはり藍色の美しさが際立ちます。藍染めの深い青は、見る角度や光の加減によって様々な表情を見せ、落ち着きと上品さを兼ね備えた色合いです。そして近年では、伝統的な藍色に加え、黄色・赤・緑などさまざまな色も加えられ、華やかな印象の柄も登場しています。どの色も自然素材の染料を使っており、発色がやさしく、着る人の個性を引き立ててくれます。職人の手によって一本一本染められた糸が織りなす色のグラデーションは、まさに一点ものの芸術作品といえるでしょう。
現在は多種多様な色柄で作られる久留米絣なんです。

4|久留米絣の使われ方
4-1:昔は着物、今はアクセサリーや雑貨に
かつては着物や農作業着として日常的に着られていた久留米絣ですが、今ではその用途が大きく広がっています。洋服はもちろん、バッグやポーチ、クッションカバー、そしてピアスやイヤリングといったアクセサリーにまで展開されています。絣の美しさや質感を生かしたアイテムは、おしゃれに敏感な若い世代にも人気。着物というと少し敷居が高く感じる方でも、気軽に久留米絣を身につけられるようになり、暮らしの中で楽しめる伝統工芸として再評価されています。小さなハギレからでも作れるため、アップサイクルの素材としても注目されています。
↓こちらは私が作るレジンと久留米絣の作品たちです。

4-2:現代のクリエイターたちの取り組み
近年では、若手クリエイターや地域の工房がコラボして、モダンな久留米絣の作品を発信しています。伝統を守るだけでなく、自由な発想で新しい使い方やデザインを生み出しているのです。たとえば、ストリートファッションやアート作品との融合、現代建築やライフスタイルショップでの採用など、その活躍の場はどんどん広がっています。また、海外にも評価されており、手仕事の価値や日本の伝統美に触れたいと訪れる観光客からも注目されています。こうした活動が、久留米絣を未来へつなげる大きな力となっています。
洋服をはじめ帽子や、靴、ネクタイ、バック、とってもたくさんの素敵な作品があります。ぜひ検索してみてくださいね。あの有名ブランドからもCATHRIという名でブランド展開してありますよ!すごくかっこいい!!
5|久留米絣をもっと楽しむには?
5-1:工房や伝統工芸館を訪ねる
久留米市やその周辺には、久留米絣を体験・見学できる工房や資料館がいくつもあります。職人の手仕事を間近で見ることができたり、実際に織り体験ができる施設もあり、観光と学びを兼ねて楽しむことができます。また、工房では一点ものの作品を直接購入できるチャンスもあり、久留米絣の魅力を存分に味わえる場所です。職人さんとの会話を通じて、モノづくりの奥深さや久留米絣に込められた想いを知ることができるのも大きな魅力のひとつです。
私も何度か福岡県広川町にあります、野村織物さんへ見学へお邪魔しました〜。機械の音がなんとも心地よかったです。

5-2:手に取って感じる大切さ
久留米絣の本当の魅力は、実際に手に取ってこそ感じられるものです。写真では伝わらない風合いや、染めや織りの温もりを肌で感じることで、より深い愛着が生まれます。お気に入りの一枚を見つけて、長く大切に使う。そんな丁寧な暮らしを、久留米絣はそっと支えてくれます。日常に取り入れることで、自分だけのストーリーが紡がれていく。そのきっかけとして、ぜひ一度、久留米絣に触れてみてください。
🧵おまけ(最後に)
私のおばあちゃんが作っていた作品
多分ほとめきちゃんの原型だと思われます。このを見るとほっこりします。

私の作品はこちらより ご覧になれます。